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頭皮が柔らかくてもハゲるのは?
頭皮の固さと薄毛の関係をみてきましたが、頭皮は柔らかければハゲないということはありません。
成人男性が薄毛になる原因として一番多いのが、男性型脱毛症によるものだからです。
薄毛の原因が男性型脱毛症にある場合、頭皮は柔らかくてもハゲることになります。
男性型脱毛症(AGA)とは?
男性型脱毛症は、AGA(エージーエー)とも呼ばれ、Androgenetic Alopeciaの略です。
成人男性がハゲる脱毛症の1種で、一時的なものではなく進行性のものなので、放っておくとハゲはどんどん進んで行きます。
男性型脱毛症の患者数は多く、20~69歳の成人男性4,200万人の内、約3人に1人はかかっていると言われています。
遺伝や男性ホルモンの影響などが、主な原因と考えられています。
男性ホルモンの一種であるテストステロン(髭や毛髪を濃くし、太い骨格や筋肉などを作る)が、何らかの原因によってジヒドロテストステロンに変換されます。
ジヒドロテストステロンは毛根を攻撃し、髪の毛が太く成長するまでに抜けるようにしてしまいます。
その結果、細く短い髪の毛が多くなり、薄毛が目立つようになるのです。
AGAの患者さんの頭皮を調べると、ジヒドロテストステロンがたくさん発生していました。
詳細は、後述『男性型脱毛症(AGA)でハゲる仕組みを解説』にて記述。
男性型脱毛症(AGA)の可能性が高い人は?
自分は、男性型脱毛症(AGA)なのかどうなのか、不安に思われるかもしれません。
男性型脱毛症(AGA)の可能性が高いという人のポイントは、次の通りです。
・細くて短い抜け毛のある人
・特定の部位が薄くなる人
・若ハゲの人
【 細くて短い抜け毛がある人 】
男性型脱毛症(AGA)が発症することでヘアサイクルが短くなるため、きちんと成長していない、細くて短い毛の状態で抜けてしまっている。
【 特定の部位が薄くなる人 】
全体的に薄くなるのではなく、特定の場所から薄くなります。
特定部位が薄い人は、AGAが進行している可能性が高いです。
・額の生え際から薄毛が進行する「U字ハゲ」「M字ハゲ」
・頭頂部から薄毛になる「O型ハゲ」
・両方がミックスされた「M字+O字ハゲ」など
【 若ハゲの人 】
年齢を重ねると薄毛になりやすくなりますが、まだ10~20代のとても若い年代から薄毛が進行している「若ハゲ」と呼ばれるタイプの方は、男性型脱毛症(AGA)である可能性が高いです。
男性型脱毛症(AGA)でハゲる仕組みを解説
男性型脱毛症(AGA)には、男性ホルモンが関係しています。
男性ホルモンの一種であるTS(テストステロン)は、男性の場合、そのほとんどが精巣(睾丸)で作られて分泌されます。
生殖器の発育やヒゲ・体毛の成長、筋肉や骨格の形成といった男らしさを作るための働きが大きいですが、脳の認知機能にも影響を持ち、記憶力、決断力、判断力を高める働きもあります。
男性が活力を持ち、若々しく生活するためには、欠かせないホルモンなのです。
しかし、このTS(テストステロン)が、頭皮の毛乳頭にある5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結びつくと、DHT(ジヒドロテストステロン)と言うより強力な男性ホルモンに変換されます。
このDHT(ジヒドロテストステロン)には、髪の毛の抜け替わりの周期である毛周期(ヘアサイクル)を短くする作用があります。
成長期:髪の毛が成長する期間
退行期:毛の成長が止まり、抜け落ちる準備に入る期間
休止期:毛が抜け落ち、次の毛を生やすための準備が行われる期間
健康な髪であれば2~6年と言われる成長期が、DHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受けると、1~2年程度まで短くなります。
成長期が短くなると、毛が太く長く育つ前に抜けてしまうため、細く・短い髪が増えて薄毛になるのです。
男性型脱毛症(AGA)は、遺伝するもの
男性型脱毛症(AGA)には、遺伝も関係しているようです。
親がハゲていれば、自分も必ずハゲるというわけではありませんが、ハゲやすい体質は受け継いでしまいます。
では、どのような体質を受け継ぐのでしょうか?
受け継ぐ体質
・5αリダクターゼの分泌量
・男性ホルモンの影響度の強さ
【 5αリダクターゼの分泌量 】
5αリダクターゼの分泌量が多いかどうかは、遺伝により引き継ぎます。
5αリダクターゼの量が多ければ必ず薄毛になるという訳ではありませんが、男性型脱毛症(AGA)になる確率は高くなります。
【 男性ホルモンの影響度の強さ 】
男性ホルモンを受け入れる感受性の強さのことを「アンドロゲンレセプターの感受性」と言います。
アンドロゲンレセプターとは、男性ホルモンを受け取って働くように変換する物質のことです。
このアンドロゲンレセプターの感受性が高くても、必ずしも薄毛になるとは限りませんが、やはり、男性型脱毛症(AGA)になる確率は高くなります。
これらのことから、必ずしも遺伝によって男性型脱毛症(AGA)になる訳ではありませんが、なりやすい体質を引き継ぐことで、発症する確率は高くなります。
また、遺伝については、下記のような研究結果もあります。
母方の祖父がハゲていたら、自分もハゲるという説の根拠です。
ドイツ・ボン大学の研究チームがハゲの遺伝について研究しています。
40 歳以前にハゲ始めた男性の家系の血液を分析した結果、若くしてハゲ始めた人は、母親から受け継ぐX染色体にある男性ホルモン(アンドロゲン)の受容体遺伝子の変異により、頭皮でアンドロゲンの働きが強まって、髪の毛が抜けやすくなるとみています。
したがって、母親の父親(母方の祖父)がハゲていると、自分も男性型脱毛症(AGA)の発生確率が高いと考えられます。