育毛剤を使っているのに、ほとんど効果がないと感じているあなた。髪の毛の栄養素であるタンパク質をきちんと摂っていますか。
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髪の毛の99%がタンパク質から作られている
髪の毛の99%は、タンパク質からできています。人の身体を作っている成分は、水分が一番多いのですが、その次に多いのがタンパク質です。タンパク質は、心臓や胃や腸、肝臓などの臓器から、血管・血液・神経・皮膚・筋肉、爪・髪の毛などにいたるまで、成分として使われています。
タンパク質は、このように身体の様々なパーツの材料となっているのですが、使われ方に優先順位があります。当然のことですが、生命維持に直接関連する心臓や血液には、優先的に使われるのですが、無くても生命維持に関係ない髪の毛は、タンパク質を使って良い優先順位は、とても低いということになります。
十分にタンパク質を摂っていないと、タンパク質を使うのが後回しにされる髪の毛などには、タンパク質が行き渡らないために、髪の毛を成長させることが出来なくなってしまうことは、ご理解できたと思います。
髪の毛を成長させるための栄養素は、食事から摂るしかない!
髪の毛の成長には、その材料となるタンパク質を摂ることが重要だと分かったと思います。そして、ここが重要なポイントですが、髪の毛を成長させる栄養素は、頭皮とつながっている毛細血管から入ってくる血液からしか、もらうことが出来ません。
つまり、食事によって摂ったタンパク質しか、髪の毛の成長に使うことが出来ないということです。
実際、食事制限のダイエットをして、必要な量のタンパク質を摂らないと、髪の毛が成長しないので薄毛が進行していくことが分かっています。これ以外にも、以下に該当するようであれば、タンパク質が不足している可能性が高いです。
【 栄養バランスの悪い偏った食事 】 ・肉や魚を食べない ・食事を抜くことが多い ・食べる量が極端に少ない ・ファストフードやインスタント食品が多い など |
そもそも、1日に必要なタンパク質の量を摂っていないことには、タンパク質は不足しています。1日に必要なタンパク質の量は、体重1kgに対してタンパク質が1gと言われています。
【 1日に必要なタンパク質の摂取量 】 例えば、体重50kg だとすると、 1日に必要なタンパク質は 50g になります。 |
運動習慣のある方は、体重1kgに対して 1.2~2.0g とも言われます。
タンパク質 50g とは、
・ご飯1杯(約150g)なら約13杯 ・牛肉もも(脂身なし)なら約250g ・納豆なら4パック ・牛乳なら1.5L に相当します。 |
どうでしょう、普段からタンパク質が足りていると思われますか? 不足しているとしたら、髪の毛が薄くなるのも納得ではありませんかね。
タンパク質をケラチンタンパク質に変えるには?
髪の毛の原料となるタンパク質は、タンパク質と言っても、ケラチン タンパク質という種類のタンパク質です。たんぱく質を摂取したら、タンパク質を腸で吸収して、ケラチン タンパク質に変えてあげる必要があります。
髪の毛を成長させるには、必要量のタンパク質を摂ることが必須になります。しかし、単にタンパク質を摂れば良いというものではありません。
残念なことに、タンパク質はそのままでは吸収できないので、体の中で一旦、アミノ酸に分解する必要があります。そして、分解されたアミノ酸は腸から吸収されて、心臓・胃・筋肉などに身体のさまざまな部位に運ばれてタンパク質に再構成されて吸収されます。
タンパク質だけを摂っていても吸収されないので、タンパク質の吸収を高めて、髪の毛を育ててくれる下記の様な栄養素と一緒に摂る必要があります。
【 亜鉛 】・・・タンパク質から髪を作るのをサポート(アミノ酸をケラチンに合成する働き) 【 ビタミンB群 】・・・タンパク質の分解、頭皮の新陳代謝を促進、髪の成長を活発に 【 ビタミンC 】・・・アミノ酸の合成やタンパク質の構成、頭皮の血行促進効果 【 ビタミンE 】・・・血中の活性酸素抑制、毛細血管を拡張し、毛根に髪の毛に必要な栄養素を届ける 【 ミネラル 】・・・タンパク質の吸収促進 ※ 特に、亜鉛やビタミンC・ビタミンEなどは体内で合成出来ないため、食事として摂取しなければ、タンパク質の吸収を高めることが出来ません。 |
ケラチン タンパク質の合成
分解されたアミノ酸を、体内でタンパク質に再構成して髪や筋肉・爪などとして吸収されます。色々とあるタンパク質の中でも、髪の毛を作るケラチン タンパク質は、以下の18種類のアミノ酸が集まって作られています。
・シスチン・グルタミン酸・ロイシン・アルギニン・セリン・スレオニン ・アルパラギン酸・グリシン・バリン・アラニン・フェニルアラニン ・イソロイシン・チロシン・リジン・ヒスチジン・メチオニン・トリプトファン |
食事によって摂取したタンパク質が髪の毛になるには、一旦、上記のアミノ酸に分解した後に、組み合わさって髪の毛になります。
植物性タンパク質と動物性タンパク質、どちらが髪にいい?
タンパク質には、植物性タンパク質と動物性タンパク質があります。
比較項目 | 動物性タンパク質 | 植物性タンパク質 |
---|---|---|
含まれる食材 |
肉、魚、卵、チーズ、牛乳など |
豆腐やピーナツなどの豆類 |
特 徴 |
・動物性タンパク質は植物性タンパク質に比べ吸収率が高い ・必須アミノ酸が豊富に含まれている ・タンパク質以外の成分の脂質やコレルテロールを多く含むため、カロリーが高く、食べ過ぎると血管が収縮して髪の成長に悪影響 |
・植物性タンパク質は動物性タンパク質に比べ吸収率が低い、必須アミノ酸の量が少ない ・大豆タンパク質は、アミノ酸代謝が良く、血中のコレステロールを下げる働きがあり、血液の流れが良くなるため髪の毛の成長を助ける ・大豆に含まれているイソフラボンには、AGA(男性型脱毛症)の原因となる悪玉の男性ホルモンを減らす働きがあり、薄毛を予防する |
動物性タンパク質・植物性タンパク質には、それぞれ良い点、悪い点がありますが、どちらか一方に偏って摂るのではなく、どちらもバランスよく摂ることが必要です。
タンパク質自体は、摂り過ぎると肥満になったりするし、タンパク質以外の栄養素も多く含まれるので、食べ過ぎると身体に負担がかかる場合もあるので、摂り過ぎには注意が必要です。
タンパク質の吸収を高めるために
タンパク質だけを摂っていてもダメで、タンパク質の吸収を高める栄養素を一緒に摂る必要があることを説明しましたが、具体的にどのようなものを摂るのかについて触れてみたいと思います。
【 亜鉛 】・・・牡蠣、豚レバー、牛もも肉(赤身)、ほたて(生)、うなぎ(蒲焼)、シジミ、高野豆腐など
【 ビタミンB群 】・・・牛乳、玉子、小松菜、ほうれん草、レバー、マグロ刺身、さんま、納豆、麦芽米、豚肉、ナッツ類など
【 ビタミンC 】・・・赤ピーマン、黄ピーマン、芽キャベツ、アセロラ果実、キウイフルーツ、レモン、甘柿など
【 ビタミンE 】・・・あんこうのきも、あゆ、いわし(油漬)、うなぎ(かば焼)、アーモンド、松の実など
亜鉛
どんなにタンパク質を摂っても、亜鉛がなければ、髪の毛は成長しないとまで言われるくらいに、亜鉛は大切なミネラルの1種です。
【 ケラチン タンパク質を作る 】
髪の毛の99%を占めるケラチン タンパク質を作るのが得意です。食べたタンパク質が分解されてアミノ酸になると腸から吸収され、亜鉛によってそのアミノ酸からケラチン タンパク質に合成する働きがあります。
【 細胞分裂を活発にする 】
髪の毛は、毛根の中の毛母細胞が細胞分裂を繰り返して、角質化(タンパク質が硬くなること)した細胞が集まって出来上がります。その細胞分裂を活性化させる栄養素が『亜鉛』です。
【 悪玉の男性ホルモンを減少させる 】
男性型脱毛症(AGA)の原因となる悪玉の男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)は、誰しもが持っている毛髪を濃くしたり、太い骨格や筋肉などを作るための男性ホルモンのTS(テストステロン)と、頭皮の毛乳頭にある5αリダクターゼと呼ばれる酵素が結びついて作られます。
DHT(ジヒドロテストステロン)は増えすぎると毛乳頭を刺激して、毛母細胞への発毛指示を止めるので、髪の毛は成長しなくなってしまいます。
亜鉛は、5αリダクターゼの活動を抑える働きをするので、TS(テストステロン)と結びつきにくくなるので、悪玉の男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)が発生しにくくなるという訳です。
ビタミンB群
ビタミンB群に属する栄養素としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、葉酸などがあります。
ビタミンB群 | 別 名 | 詳 細 |
---|---|---|
ビタミンB1 |
チアミン |
疲労回復効果 |
ビタミンB2 |
リボフラビン |
皮脂の過剰分泌を抑制して、頭皮を清潔に保つ |
ビタミンB3 |
ナイアシン |
頭皮の血行を促進する |
ビタミンB5 |
パントテン酸 |
毛母細胞を活性化させ、髪の毛が作りだされるのを助ける |
ビタミンB6 |
ピリドキシン |
髪の毛の99%を作るケラチン タンパク質の合成をサポート |
ビタミンB7 |
ビオチン |
髪の毛を作るアミノ酸の代謝を促進する |
ビタミンB9 |
葉酸 |
頭皮環境を正常に保つ。血液を作り、血行を促進させる |
ビタミンB12 |
シアノコバラミン |
毛細血管を強くし、頭皮環境を清浄に保つ |