頭皮に過剰に皮脂がたまると、ベタついて臭いやフケが出たり、抜け毛が増えたりと、良くないイメージばかりがありますが、そもそも皮脂とは邪魔なものなのでしょうか?
本来、皮脂はどんな働きをしてるのかを知っていますか?
目次
皮脂の役割
頭皮の皮脂は、毛穴の中にある皮脂腺から分泌されています。
適量の皮脂は、汗と混ざって弱酸性の膜を作り、頭皮に以下の4つの効果をもたらします。
頭皮の皮脂は、適量であれば必要なものだと分かるはずです。
保湿効果
皮脂の膜が頭皮を覆うことで、頭皮の乾燥を抑えて保湿します。
保護効果
皮脂膜は、頭皮に紫外線が直接当たるのを保護したり、ホコリなどの汚れから守ります。
殺菌効果
皮脂膜は頭皮を弱酸性に保ってくれるので、雑菌の繁殖を防ぎます。
脂分効果
適量の皮脂は、脂分が髪の毛をコーティングして、ツヤや滑らかさを与えます。
以上のように、皮脂は適量であれば、頭皮や髪の毛を保護するために必要なものです。
しかし、皮脂が過剰に分泌されたまま放置すると、酸化してかたまりとなり、頭皮の環境を悪化させます。
・頭皮や髪の毛のベタつき |
皮脂が薄毛の原因になる?
「皮脂が過剰に分泌されて毛穴が皮脂で詰まると、髪の毛に酸素が行き渡りにくくなり、髪の毛の成長を悪くして、抜け毛を増やす」という説があります。
しかし近年では、多少の影響はあるかも知れませんが、抜け毛の大きな原因とは成りにくいというのが通説です。
昔は、シャンプー会社が自社のシャンプーを売るために、「皮脂が毛穴を塞ぐと抜け毛につながる」というイメージを定着させていました。
いつの間にか、「シャンプーで皮脂をきちんと落とさないと、抜け毛が増える」というような錯覚を植え付けられていたのです。
しかし、皮脂があまりに過剰に分泌された場合、それを放置することで、抜け毛につながる可能性が高くなることは事実です。
と言うのも、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、脂漏性脱毛症(しろうせい)という炎症を起こす場合があるからです。
脂漏性脱毛症は、皮脂をエサとして毛穴に潜むマセラチア菌(カビの一種)が、皮脂の過剰分泌によって増殖することで発症します。
マセラチア菌は、食べた皮脂を分解し、皮膚に強い刺激を与える脂肪酸を排出するので、頭皮に炎症を起こしてしまうのです。
炎症を起こした皮膚を守るためにカサブタができ、時間の経過とともに、フケのようになって剥がれ落ちます。
そのまま放置すると、炎症がひどくなって頭皮環境は悪化し、ダメージを受けた髪の毛は抜けやすくなります。
皮脂が過剰になる原因は?
皮脂は適量であれば、頭皮や髪の毛を保護してくれるのに、過剰になれば、頭皮や髪の毛を傷めてしまいます。
一体、皮脂が過剰になる原因とは何なのでしょうか?
皮脂が過剰に分泌される主な原因は、以下の4つです。
・頭の洗い方 |
日頃の生活習慣を見直して、皮脂が過剰に分泌されるような行動をしていないか、確認してみてください。
頭の洗い方
頭皮の不要な皮脂はシャンプーで洗い落としますが、洗い方が悪い、シャンプーの洗浄力が弱い、シャンプーの量が少ない、などの理由で、余分な皮脂がどんどん蓄積されていく場合です。
洗い残した余分な皮脂は、日にちが経つほど落ちにくい皮脂となり、蓄積されます。
頭を洗う回数が多過ぎたり、洗浄力の強過ぎるシャンプーを使っていると、皮脂を必要以上に落としてしまいます。
皮脂が過剰に洗い落とされると、頭皮を守るべき皮脂が足りないと脳が判断し、皮脂をどんどん分泌するように司令を出します。
その結果、頭皮に過剰な皮脂が残ることとなります。
皮脂の洗い落とし方が少な過ぎても多過ぎても、頭皮には皮脂が過剰に存在することになります。
食生活
脂質の多い肉類や脂分の多い揚げ物、糖質の多い甘いケーキなどを食べ過ぎると、体内での脂質や脂分の吸収・分解が間に合わなくなり、摂り過ぎた脂分は過剰な皮脂として分泌されます。
刺激物(香辛料やカフェインなど)を摂り過ぎるのも、頭皮の毛穴が開いて、皮脂を過剰に分泌する原因となります。
さらに、ビタミンC・B2・B6、食物繊維など、脂質代謝をサポートして皮脂の分泌を調整してくれる栄養素が不足すると、皮脂が過剰に分泌されるようになります。
睡眠不足
睡眠不足になってくると、交感神経という自律神経の一つが優位になります。
交感神経が働いている時間が長くなると、皮脂の分泌を促進する働きを持つ男性ホルモン『アンドロゲン』の分泌が増えてしまうので、頭皮にも皮脂は過剰に分泌されます。
ストレス
強いストレスや長時間ストレスを受け続けることでも、交感神経が優位になってしまいます。
交感神経の働きが強くなると、皮脂の分泌を促進する男性ホルモン『アンドロゲン』の分泌が増え、皮脂は過剰に分泌されます。
運動不足
運動不足になると、脂肪の代謝が悪くなります。
また、血行が悪くなるので、体が冷えて、ホルモンバランスを崩します。
ホルモンバランスが乱れて男性ホルモンが増加すると、皮脂腺を刺激して、皮脂は過剰に分泌されるようになります。
頭皮の皮脂の重要性
頭皮の皮脂を適量に保つか保たないかによって、頭皮の環境は大きく変わります。
皮脂の量が適正であれば、頭皮や髪の毛は保護されるため、髪の毛の成長にはとても良い環境となります。
しかし、悪い頭の洗い方や食生活、生活習慣によって、皮脂が過剰に分泌されるようになると、頭皮環境は悪化して、髪の毛の成長にも悪影響が及びます。
年齢を重ねるだけでも髪の毛は弱くなっているのに、頭皮環境を悪化させれば、早く薄毛になるように自分から仕向けているようなものです。
髪の毛をより良い状態で育てるには、頭皮の皮脂が適量になるよう改善していくことが重要です。
皮脂を適度に保つためには
頭皮の皮脂が過剰になる一番の原因は頭の洗い方にあり、頭皮の状態に大きく影響しています。
頭の洗い方
【 シャンプーがあなたに合っていますか? 】
・市販の、刺激が強く、洗浄力も強過ぎるシャンプーを使ってはいませんか?
↓
洗い方にもよりますが、頭皮の皮脂を必要以上に落とし過ぎている可能性が大です。
【 シャンプーの回数は、適正ですか? 】
・1回のシャンプーでの2度洗いとか、1日に複数回のシャンプーをしていませんか?
↓
洗い過ぎて、皮脂を落とし過ぎている可能性が大です。
・シャンプーを2~3日おきにしかしないことはありませんか?
↓
洗うのが足りず、皮脂を落としきれていません。
もう少し頻繁に洗う必要があります。
【 正しいシャンプーの方法ですか? 】
・しっかりと洗い、シャンプー剤は完全に洗い流せていますか?
↓
正しいシャンプーの仕方をしていないと、頭皮を傷め、抜け毛を増やします。
自分に合ったシャンプーを選び、適切な回数・正しい方法でのシャンプーをやれていない方はとても多いようです。
私も間違った知識のままに、不適切なシャンプーの仕方をしていました。
そのせいで髪を傷めてしまっていたのかも知れません。
今一度、シャンプーの正しいやり方を、確認しておかれることをオススメします。
→ シャンプー選び、適切な回数や時間帯、正しいシャンプーのやり方を確認するには、こちら
食生活
脂質の多い肉類や脂分の多い揚げ物、糖質の多い甘いスイーツ、ファストフード、インスタント食品ばかりの食事ではなく、栄養が偏ることのないように心がけましょう。
和食を中心とした栄養バランスの良い食事は、頭皮だけでなく、体全体の健康維持にもつながります。
生活習慣
睡眠不足や不規則な睡眠時間、運動不足、ストレスをためるなどの行為は、自律神経の交感神経を高ぶらせたり、ホルモンバランスを崩し、頭皮の皮脂を増やします。
適度な運動をして、しっかりと睡眠をとり、リラックスできる時間を設けましょう。
自律神経の副交感神経を高める時間を持つことで、皮脂の分泌も抑えられます。
まとめ
適量の皮脂は、頭皮や髪の毛を保護する役割を果たしています。
髪の毛の洗い方や食生活、生活習慣によって皮脂が過剰に分泌されるようになると、頭皮の環境は悪化して、髪の毛にダメージを与えるようになります。
皮脂はどうしても、ベタつく、臭う、フケの元、かゆくなるなど、悪いイメージばかりが先行しています。
しかし、「適量の皮脂は頭皮や髪の毛を保護している」ということも認識し、その働きを利用して、髪の毛を長く維持していけるよう仕向けることが大切です。